【徹底比較】認知症ケア資格5つを比較してみた

お金

注目を集める認知症ケア資格

高齢者施設で仕事をしていると認知症の人と関わることは避けて通ることができません。
ゲーム機で「脳を鍛える大人のトレーニング」が過去にヒットしたことからも、将来的な認知機能の低下に不安を持っている人は多いようです。
高齢化が急速に進んでいる日本において、認知症に関する知識を持つことは重要であり、介護職員は認知症とどのように向き合っていくのかと言うことが課題となっていいます。
今後のキャリアアップのために認知症ケアの資格を取りたいとは考えているものの、色々多すぎてわからない。
そんな人のために今回は認知症ケアの資格についてまとめてみました。

こんなにあった認知症ケア資格

今回、この記事を書くにあたって認知症ケアの資格を調べてみたのですが、驚いたのはその数の多さです。
今回は資格を発行している団体ごとに5つの資格をしょうかいするのですが、それら1つずつに上級資格があるためそれらをあわせれば10以上の認知症ケアの資格があることになります。
介護関連の資格は民間資格もあるため他にもあるかもしれません。
それだけ、認知症ケアが注目を集めているということなので、自分にあった資格を選んでいきたいですね。

認知症ケア専門士


まずはじめにご紹介するのは「認知症ケア専門士」です。
認知症ケアの実務が3年以上、試験は「1時間x4科目+グループディスカッション」になります。
合格率は40%~60%で、他の資格に比べると比較的難易度が高い資格になります。

認定しているのは日本認知症ケア学会

認知症ケア専門士資格を発行している団体は「一般社団法人 日本認知症ケア学会」です。
学会ですので認知症に関する活動や講義を行なっています。
「認知症ケア専門士」の第1回の試験は2005年になります。

コンセプトは生涯学習の機会提供を目的に設けられた資格

公式サイトを見てみるとこのように書かれています。

本資格は,一般社団法人日本認知症ケア学会が認定する更新制の資格で,認知認知症介護従事者の自己研鑚および生涯学習の機会提供を目的に設けられた資格です。
「認知症ケア専門士 公式サイト」https://ninchisyoucare.com/senmonsi/Ssenmonsi.htm

認知症ケア専門士は学会が発行している資格ということだけあって、現場での活用はもちろんのこと、その後の認知症に関する継続的な学習を目的としていることがわかります。

合格したら認知症ケア専門士として登録

認知症ケア専門士の試験に合格したら認知症ケア専門士として登録することができます。
有効期限は5年で5年後に更新手続きをする必要があります。
更新までに30単位を取得する必要があるため、定期的に日本認知症ケア学会の活動に参加する必要があります。

上級資格は認知症ケア上級専門士

認知症ケア専門士として認定されてから3年後に認知症ケア上級専門士の受験を受けることができます。
認知症ケア専門士は認知症に関する継続的な学習を目的とした団体ですので、上級資格も目指していくことが良いでしょう。

認知症介護基礎研修


認知症介護基礎研修は自治体により行われる研修です。
資格とは少し違いますが、認知症関連の研修ということで今回は紹介させてもらいました。

行なっているのは自治体

他の民間資格とは違いこちらは自治体が行なっている研修になります。
また、個人で受講することはできないため、事業所を通じての受講となります。
他の資格とは違って気軽に受講することはできないので注意が必要です。

コンセプトは「基礎的な知識・技術を身につける」

認知症介護基礎研修は自治体が行う研修になります。

認知症介護に携わる者が、その業務を遂⾏ する上で基礎的な知識・技術とそれを実践する 際の考え方を身につけ、チームアプローチに参画 する⼀員として基礎的なサービス提供を⾏うこと ができるようにする
認知症介護基礎研修、実践研修等のあり方 およびその育成に関する調査研究事業 報告書

厚生労働省にPDFがまとめられているので、興味がある人は一度読んでおくと良いでしょう。
認知症介護基礎研修、実践研修等のあり方 およびその育成に関する調査研究事業 報告書

2021年4月から義務化

現在では介護施設で働く場合には無資格でも働くことができました。
しかし、介護報酬の改定に伴い、無資格の人はこちらの認知症介護基礎研修の受講が義務化されました。
無資格で働いている人は会社から受講を促されるようになります。

受講後は認知症介護実践者研修

認知症介護基礎研修の次には「認知症介護実践者研修」という研修があります。
研修を受ける場合には2年の実務経験が必要となりますが、認知症介護基礎研修の受講は必要ありません。
他の民間資格とは違い、介護報酬の認知症ケア加算の要件に必要な場合がありますので、研修を受けることができれば、給料のUPが期待できるかもしれません。
また、研修の1年後には認知症介護実践リーダー研修を受講することができます。

認知症ケア指導管理士


認知症ケア指導管理士は年2回行われており、試験時間は90分です。
受験資格は特に設けられていないため気軽に受験することができます。
合格率は59%となっています。

発行しているのは財団法人職業技能振興会

認知症ケア指導管理士を認定しているのは「一般財団法人職業技能振興会」および「総合ケア推進協議会」です。
一般財団法人 職業技能振興会

コンセプトは「認知症ケアに携わる方の専門性向上」

こちらの資格は職業技能振興会が認定している資格ですので、認知症に関する知識の継続的な向上を目的としているというよりは、介護現場において必要な認知症の知識の確認が主な目的になります。
また、管理という名称から認知症ケアの指導者向けの資格になります。

合格したら認定証の発行

試験に合格したら、認定証を発行してもらうことができます。
更新などは無いようです。

上級資格は上級認知症ケア指導管理士

認知症ケア指導管理士の上級資格は上級認知症ケア指導管理士になります。
介護現場でリーダーとして活躍する人材で、より迂回知識が必要となります。

認知症ライフパートナー

介護
認知症ライフパートナーは年2回行われており、試験時間は2時間です。
受験資格は特に設けられていないため気軽に受験することができます。

発行しているのは日本認知症コミュニケーション協議会

認知症ライフパートナーを発行しているのは日本認知症コミュニケーション協議会になっています。
一般社団法人 日本認知症コミュニケーション協議会

コンセプトは「本人や家族に寄り添い、サポートできる人」

認知症ライフパートナーは他の認知症資格とは趣旨が違うようです。
他の資格は介護職員を対象にしていましたが、認知症ライフサポーターは認知症に対する理解を深めるということが主な目的になっています。
認知症に関わる仕事をしていない場合でも、家族や友人のことで認知症に関する知識が必要になることがあるかもしれません。
そんな時に気軽に受けることができます。

合格したら合格証がもらえる

こちらの資格は合格をすることで合格証をもらうことができます。

上級資格は認知症ライフパートナー1級

認知症ライフパートナーは3~1級まであり、目指すべきは1級になります。
比較的気軽に受けることのできるライフパートナーですが1級は指導的役割の人材を対象にした資格になっています。
もし、認知症ライフパートナーを取得する場合には1級の取得を目指しましょう

認知症介助士

認知症
認知症介助士はPCで受けることができる認知症の資格になります。
資格試験もいつでも受けることができるため、気軽に資格を取得することができます。
認知症介助士

認定しているのは日本ケアフィット教育機構

認定しているのは「公益財団法人 日本ケアフィット教育機構」になります。
公益財団法人は一般財団法人より認可が厳しいので、公益性が高い事業を行なっているという証明になります。
しかし、他の資格と同じ民間資格であることには変わりありません。

コンセプトは「認知症の方への適切な対応方法を知る」

認知症介助士は介護職員よりは、日常的に介護に関わっている人向けの資格になっています。
気軽に受けられることから敷居は低くなっているため、他の資格よりは取得しやすい資格になっています。

合格したら認定状がもらえる

認知症介助士に合格することで認定状を交付してもらうことができます。

上級資格はなし

認知症介助士に上級資格はありません。
その後のスキルアップにはつながりませんが、少し認知症に興味を持った人には気軽に受けることができるため適しています。

各認知症ケア資格の比較

データ
それでは本題ですが、すべての資格を並べて比較してみました。
今回は数が多いので縦に並べています。
ポイントになる点は赤くしています。

認知症ケア専門士

継続的な学習を目的としている

資格名 認知症ケア専門士
団体名 一般社団法人 認知症ケア学会
コンセプト 生涯学習の機会提供を目的に設けられた資格
形式 筆記+ディスカッション
受講資格 3年以上の実務経験
開催回数 年2回
時間 4時間+1時間のディスカッション
費用 合計¥20000
上級資格 認知症ケア上級専門士
その他 5年更新

認知症介護基礎研修

事業所運営に必要となる

資格名 認知症介護基礎研修
団体名 自治体
コンセプト 基礎的な知識・技術をみにつける
形式 研修
受講資格 事業所からの申請
開催回数 自治体による
時間 1日
費用 自治体による
上級資格 認知症介護実践者研修
その他 初任者研修を持っていない場合には
取得を義務化された

認知症ライフパートナー

人により沿った認知症ケア

資格名 認知症ライフパートナー
団体名
一般社団法人 日本認知症コミュケーション協議会
コンセプト 本人や家族に寄り添いサポートできる人
形式 筆記
受講資格 なし
開催回数 年2回
時間 120分
費用 ¥6000
上級資格 認知症ライフパートナー1級
その他

認知症ケア指導管理士

認知症ケアに携わる人向けの資格

資格名 認知症ケア指導管理士
団体名 一般財団法人 職業技能振興会
コンセプト 認知症ケアに携わる方の専門性の向上
形式 筆記
受講資格 なし
開催回数 年2回
時間 90分
費用 ¥7500
上級資格 上級認知症ケア指導管理士
その他

認知症介助士

気軽に受験できる

資格名 認知症介助士
団体名 公益財団法人 日本ケアフィット教育機構
コンセプト 認知症の方への適切な対応方法を知る
形式 筆記orPC
受講資格 なし
開催回数 1年中
時間 40分
費用 ¥3300
上級資格
その他

オススメの認知症ケア資格の選び方

データ
認知症ケア関連の資格が思っていたよりも多く長い文章になりましたが、まとめに入りたいと思います。
人によってどの認知症ケアの資格を取ることが適切なのかをまとめます。

継続的な学習を目的とするなら認知症ケア専門士

今後、認知症ケアに携わっていくことを決めており、10年、20年と認知症のプロフェッショナルとして活動していきたい場合には認知症ケア専門士の資格がおすすめです。
学会が認定している資格であるため、他の資格よりも継続的な学習としての目的が高いです。
他の資格よりもハードルが高く、5年更新となるため、気軽に取得することはオススメしませんが、継続的に認知症ケアに関わっていきたいのであれば取得しても良いでしょう。

認知症ケアの運営に関係するのは認知症介護研修

認知症ケアの資格で今後仕事に活かすことができるのは「認知症介護研修」です。
こちらの資格は事業所から申請する必要があるため気軽に取得することができませんが、介護報酬の加算要件に関わってくるため、機会があれば受講しておいても良いでしょう。
基礎研修は無資格出ない人はあまりとる必要は無いと思いますが、すでに実務経験があるのであれば、「認知症介護実践者研修」「認知症介護リーダー研修」とステップアップしていきましょう。

気軽に勉強したい場合はその他の資格

「認知症ケア指導管理士」「認知症ライフパートナー」「認知症介助士」は合格すると認定証を認定証を発行してもらえます。
その後は次の資格に向けて勉強をしてもよいですし、別のことに時間を割いても良いでしょう。
合格すれば、そこで一旦は終了となりますので短期間で認知症の知識をつけたい場合の目標とすればよいでしょう。
コンセプトが少しずつ違うため自分にあったものを選びましょう。

資格の活用方法を考えて受験しよう

スマホを見て勉強
資格は取得して終了ではありません。
その資格をどのように活用していくかを考えてこそ、取得する価値があります。
自分は資格を取得してどの様になりたいのかをしっかりとイメージして自分にあった資格を選びましょう。

民間資格であるので注意が必要

今回ご紹介した資格は、「認知症介護研修」以外は民間資格になります。
ですので、転職に有利になるという保証にはなりません。
転職を目的として資格を取得する場合には、自分がその資格を通して何を学んだのか?
今後その資格を活かしてどうなりたいのかを説明できるようにしておきましょう。
資格は取得するだけではなくどのように活かすかが大切です。

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