刑務所以下の扱いされる介護施設があるらしい

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神奈川県「シルバーハウス風の里」

悲しいニュースが届きました

こちら、4月27日に神奈川県の有料老人ホーム「シルバーハウス風の里」で事業制限命令が出されたということです。

要介護の高齢者10人を含む入居者13人を実質的に4人の職員で担当しており、食事も1人につきコンビニエンスストアのおにぎり1個と総菜1種類と不十分だったことが判明。町は3月2日、入所者全員に対する虐待と認定した。県も改善命令で指摘した項目が改善されていないとして、事業制限命令に踏み切った。

入居者におにぎりと総菜1種 有料老人ホームに初の事業制限命令

事業制限命令の詳細に関しては神奈川県のページに記載されています。

有料老人ホームに対する事業の制限命令について

制限の内容をまとめると

  • 介護保険を利用している人に対しては説明し、次の居住先を確保した上で退去させる
  • 介護保険を利用していない人は今後も利用しても問題ないが、介護保険の適応が必要と思われる人は、介護保険の申請をして改めて居住先を確保し、退去させる。

ということです。

介護保険を利用していない場合は住んでもいいということですが、実際にはそんなことをしても経営が成り立たないので、実質的には営業停止です。

虐待が当たり前になっている介護業界

元介護福祉士をしていた僕としては哀しいことですが、こういう虐待に関するニュースというのは後を絶えませんね。

それも、ちょっとしたスタッフの不祥事とかではなくて、常識では考えられないようなケースの事件が多くなっています。

そもそもコンビニおにぎりを出す理由が理解できない

僕も有料老人ホームで働いていたことがあるのですが、そもそもコンビニのおにぎりを出すという状況が理解できません。

普通は施設だと、毎食用意する必要があるので、調理場があったり、どこかから食事が配達されたりということで毎食用意されるのが普通です。

毎食、どこかで用意しているのだからコンビニで買ったおにぎりを出そうという考えがそもそも浮かびません。

コストカットをしすぎた結果、食事が作れなくなった

今回のケースで考えられるのが、コストカットを極限まで行なった結果、食事すら作れなくなったということだと思います。

食事を用意するとして考えられるのは大きく分けて3パターンあります。

  1. 別の会社に用意してもらう
  2. 調理専用のスタッフが用意する
  3. 介護職員が用意する

食事の用意というのは人数が多ければ多いほど、効率がよくなるので大きい施設だと,1or2だと思います。

50人以下の小さい施設だと、2or3のケースが多いかなというところですね。

別の会社が用意する場合は、手間はかかりませんが、輸送費などもかかるので、安くなるケースは少ないです。

コストを極限まで安くする場合にはスタッフが用意している施設もあります。

ただ、介護職員も忙しいので、大体は湯煎で温めるだけで用意できる食事もあるのでそれを使うのが普通ではないでしょうか?

普通は利用者が食事代を負担するはず。

おかしな点としては、食事代というのは利用者が負担するはずです。

なので、コストとして食事代をカットするというのはおかしい話なんですよね。

経営上コストカットが必要なことはあると思いますが、利用者から頂いた食費をカットするというのはちょっと経営上考えられない判断ですよね。

普通に考えれば栄養状態が悪い状態が続けば、今回のような判断がくだされるのはわかると思いますし,死亡事件につながる可能性もあります。

食費を削っていたということはよほど、経営上追い詰められていたのではないかと思います。

始めたら引き返せない介護ビジネス

介護ビジネスというのは今後の高齢化社会の需要も見込めて、介護保険という制度を利用した安定性もあるために、ビジネスの投資対象としては人気のあるカテゴリではないかと思います。

しかし、介護ビジネスというのは介護保険という制度を利用している以上はそれなりの責任が伴うため簡単に廃業することはできません。

特に老人ホームは今後の生活を10年以上続ける場所を提供するので、事業に失敗したからと言ってそう簡単には閉鎖できないんですよね。

もし、閉鎖してしまえば今まで住んでいた利用者の生活する場所を奪ってしまうことになるわけなので,

利用者も困りますし、そこに預けていた家族も許さないでしょう。

こういった理由もあり、介護施設というのは一度手を出してしまうと抜け出すのが難しい業界となっています。

介護保険を民間に任せるのは限界があるのではないだろうか?

介護保険というのは国が定めた制度なので、お金の大半は国保連が払うわけですが、介護ビジネスを運営しているのはほとんどが民間企業です。

介護の質を良くするために民間が競争するというのはよいことだと思います。

互いに切磋して、サービスの質が良くなるというのは資本主義という競争社会の良い面であると思います。

しかし、介護保険というのは国が保証する制度であり、こういった不祥事が発生する要因は国が定めた制度にも問題があると思います。

「運営は民間、お金は国が支払う」という一見美味しいとこ取りに見えるシステムが経営者の意欲を掻き立てるわけですが、結局はうまく運営できない経営者は淘汰され、現場の職員や利用者にしわ寄せが言っているのだと思います。

疲弊している企業は他にもたくさんある

最後に今回の事件を見て思ったことはこの事件は氷山の一角だろうなということです。

今回はコンビニのおにぎりを出していたというかなりインパクトのある事件だったので話題になりましたが、介護施設として十分なサービスを提供できていない施設は他にもたくさんあると思います。

こういった事件が度々取り上げられることは介護業界が腐敗しているということの証明になるので、できれば国としては真剣に取り組んだほうがいいのではないかと思いました。

テレビのニュースなんかを見ていると、「年金2000万円問題」のような老後の生活が心配と言ったお金の話が問題に取り上げられますが、国の予算とコストに見合った制度設計をする必要があるのではないでしょうか?

僕は長生きすることが必ずしもよいとは思わないのですが、なくなる直前にこういった刑務所のような生活を送るような社会にはなってほしくないですね。

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